毎年5月31日は世界禁煙デーです。ご存知ですか。
今年のWHOのスローガンは「タバコの害から若者を守ろう」です。日本では、「子どもをタバコから守るために」を禁煙週間(5/31~6/6)のテーマに掲げて、各地でいろいろな禁煙に関するイベントが行われました。
タバコが身体に害を及ぼすことは、皆さんご存知ですよね。肺がんをはじめとする種々のがん、虚血性心疾患、慢牲気管支炎・肺気腫などの閉塞性肺疾患、胃・十二指腸潰瘍などの消化器疾患、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症、その他種々の疾患のリスクが増大します。
受動喫煙も同様。タバコの煙には多くの有害物質が含まれていますが、実は、タバコから立ち上る副流煙の方が数倍から数十倍も有害物質を多く含んでいます。
受動喫煙で深刻なのが、胎児や乳幼児への影響です。妊娠中の喫煙は、赤ちゃんの体重が減少したり、子どもの認識力や行動面での発達、知能指数の低下など、さまざまな悪影響をもたらす。そして、赤ちゃんに影響を与えるのは、母親だけではない。喫煙直後の呼気にはタバコ煙が含まれており、親が外やベランダで喫煙している場合でも、子供の尿からニコチンの代謝物質が検出される。吸う時だけ場所を移っても、受動喫煙の影響が出る。受動喫煙の一番の被害者は、自分の意思ではタバコの煙から逃れることができない幼い子供たち。「受動喫煙は、静かな児童虐待」とも言われています。

タバコの害

全世界で年間約 500 万人以上の人が喫煙に関連する病気で死亡しています。
日本でも 11 万人以上と推定されています。

  • WorldHealthOrganization2002
    「タバコは1時間あたり560人、1日あたり13,400人、1年間では490万人を殺している」と書いています。6秒に1人とも計算できます。
  • (財)医療経済研究機構
    2000年の日本におけるタバコによる死亡数は、114,200人、全死亡に占める割合は11.9%と推定されています。1日当たり300人です。
  • 朝日新聞 2001/12/19
    「日本の受動喫煙の犠牲者は、年間約19,000人から32,000人になる。交通事故死の2~3倍。」
  • 国立がんセンター研究所 山口直人・がん情報研究部長 2001/5
    「旧厚生省の99年訪問調査によれば、受動喫煙は職場や学校では35%、家庭では28%の人が「ほとんど毎日受けている」と答えた。このデータや人口動態統計、これまでの疫学調査でわかった受動喫煙による肺がん危険率などをもとにすると、肺がん死者約52,000人のうち、自分が吸うたばこが原因で肺がん死する人は約38,000人。残りの人たちのうち、非喫煙者は11,000人と見て、さまざまなデータを分析して、肺がんで亡くなる非喫煙者の8人に1人は、受動喫煙が原因とした。」
  • がん

    禁煙するだけで、こうしたがんのリスクを確実に低くすることができます。
    肺がんの場合、禁煙して4~5年で死亡のリスクは喫煙者の半分程度となり、禁煙後の年数がたつほど低くなります。さらに60歳代の人であっても禁煙により、肺がんによる死亡のリスクを減らすことができます。
  • 循環器疾患
    タバコを吸う事で、血液をドロドロにする血中成分の増加や善玉(HDL)コレステロールの減少により、動脈硬化が促進されるためと考えられます。虚血性心疾患のリスクは約3倍。喫煙本数が増えるほどリスクが増加します。禁煙すれば、2年以内にリスクは減少し、禁煙は、虚血性心疾患の予防に即効的な効果があることがわかっています。脳卒中も約2倍起こりやすくなります。タバコを吸わなければ、男性で17%、女性では5%、合わせて16万人もの人の脳卒中の発症が予防できると考えられています。
  • 呼吸器疾患
    COPD(慢性閉塞性肺疾患=肺気腫、慢性気管支炎など)、喘息などは、発症原因の90%以上が喫煙とされ、『タバコ病』として注目されるようになってきました。どんな人でも加齢と共に肺の働きは低下しますが、喫煙者ではそれがより急速に起こります。長期間の喫煙者の20%が、徐々に咳や痰の量が増え、階段を上がることも息苦しくなります。さらに進行すると、ひどい息切れで生活が不自由となり、常に酸素療法が必要となります。禁煙は、COPDの進行を遅らせることができます。

禁煙のススメ

やめたい、やめたいと思ってもなかなかやめられないのがタバコ。禁煙する時に「とにかく吸いたい気持ちをガマン、ガマン」と、思い込んでいないだろうか。なぜやめにくいのか、ニコチンは非常に依存度が強く、身体的な依存だけではなく、精神的依存があるからです。喫煙は立派な病気。『禁煙』はその病気の治療。その治療を精神的にだけ乗り越えようと思っても、ちょっとツライ。そんな時には、禁煙グッズを上手に利用してみるのもひとつの手。
禁煙のための薬は3タイプ

  • 『貼る』 ニコチンパッチ
  • 『かむ』 ニコチンガム(健康保険の適応ではありません)
  • 『飲む』 チャンピックス(2008.5 新発売)

禁煙すると、ニコチンによって高揚していた神経伝達回路が正常に戻るまでの間に、イライラ、苦痛、不安、ふるえ、眠気―などのさまざまな離脱症状が出現します。
1.『貼る』、2.『かむ』のニコチン置換療法は、ニコチンを喫煙以外の方法で補充することによって、離脱症状を軽減し、楽に禁煙へ導く方法です。
タバコを吸うと、ニコチンが脳に達し、ドーパミンを放出させ、快感を味わう。同時にもう一度タバコを吸いたいという欲求が生じる。これが、ニコチン依存症(喫煙の習慣)です。
3.『飲む』は、脳内におけるニコチンの作用を遮断します。ニコチン受容体に弱く作用し、それによって喫煙したい欲求とニコチンからの離脱症状を緩和します。服用中にタバコを吸っても、ニコチンの作用が遮断され、満足感が得られません。タバコを吸っても気持ちよくならないのです。

禁煙をお考えの方、一度、禁煙外来を受診してみてはいかがですか? あなた自身のため、家族のため、そして将来を担う子供たちのためにも! 禁煙に『遅過ぎる』はありません!

いくつになっても、あるいは喫煙期間がどれほど長くても、今更、とあきらめずに、思い立ったら禁煙にチャレンジしてみる価値はあります。家族など、身近な人にもきっと喜ばれるはずです。